フォトブックの基本

「印刷」と「銀塩」

フォトブックを作成するときには、「オンデマンド印刷」か「銀塩プリント」のどちらかの方式が使われます。
割合では、「オンデマンド印刷」の商品が多数を占めています。

オンデマンド印刷

画質
大部数を印刷するのにポピュラーな「オフセット印刷」は、印版の作成などいろんな準備が必要です。
それに対して「版の不要なデジタル印刷機を使うことによって、迅速に少部数の印刷を行う」という方式が、「オンデマンド印刷」
です。

ということで、「オンデマンド印刷」の本体の意味は、印刷技法ではなく「要求に応じて、 要求があり次第(on demand)に素早く印刷できる」という「印刷工程の流れ」のことを指したものなのです。

オンデマンド印刷の工程で使われる印刷機の種類は、「インクジェット」と「レーザー」があります。
なので正確には、「オンデマンド印刷の工程で、インクジェット印刷機かレーザー印刷機で印刷している」ということになります。

一口にオンデマンド印刷と言っても、印刷機や使用する紙質などによって、仕上がりの品質はかなり幅広いです。

銀塩プリント

「銀塩プリント」という方式をかんたんに説明すれば、写真店やネットプリントなどの写真に使われている、印画紙を使う方式のことです。

写真品質
紙にインクをのっけるオンデマンド印刷に比べて、印画紙は紙自体が発色するので、銀塩プリントのほうが高画質になります。
でも、あくまでそれは厳密に比較すればの話で、画質の良くない銀塩もあれば、素晴らしい印刷もあります。

どちらを選ぶべきか

レイアウト
フォトブックには「オンデマンド印刷」と「銀塩プリント」の2つのフォトブックがあります。
ここでは「どちらを選ぶべきか?」を超個人的に書いてみます。

単純な比較は意味がない

私は今まで数多くのフォトブックを制作してきました。
私が今からフォトブックを作るなら「印刷か銀塩か」という選択は「写真の内容」によって変えていきます。

銀塩プリントや写真を扱っている会社は宣伝によく「銀塩は印刷より画質がよい」など言います。
その通りな部分もありますが、個人的には単純に「画質がよいのは銀塩」とは思いません。
一ページ目

まず、画質などを「比較」してどちらが優位かと判定することの意味を考えてください。

例えば、車を買おうとしていろいろな車種を試乗します。そのときに100mの加速を測定して比較したりするでしょうか?
そのような比較はまずしないでしょう。でも乗ってみて「どうも加速が悪いからこの車種はやめよう」ということはあるはずです。

比較してどうとか、数値の優劣ではなく、自分の使い方に適した物かどうかということが重要なんです。
購入した商品を「その金額」「自分の用途」に見合う商品かどうか「自分で満足出来るか」が大切です。

送られてきたフォトブックを見て、「なかなか良い」「作って良かった」と思えるかどうか。それがすべてです。

「印刷・銀塩」の長所と短所

フルフラットフォトブック
フォトブックでは印刷が主流なので、商品のサイズや価格、デザインテンプレートの選択肢が豊富という画質以外での優位性があります。
基本的に「どれくらい細部まできっちり描写できているか」という部分では一部の商品を除き、銀塩のほうが高いレベルにあります。

しかし、私たちは、雑誌やパンフレットなどの印刷物をひごろ目にしていますが、「銀塩と比べて画質が悪いなあ」などと感じることはありません。
なので、印刷も鑑賞に堪える十分な画質があるということです。

フルフラットフォトブック

画質が良いとされる銀塩ですが、黒の描写などはつぶれがちになります。
どういうことかというと、印刷では再現されている「暗めの髪の毛の描写」などが、銀塩だと「描写できず真っ黒」になってしまっている、ということがあります。
わたしとしては銀塩に劣らない写真品質の印刷のフォトブックはけっこうあると思います。

銀塩のフォトブックは運営している会社がプリント屋さんが多く、テンプレートなども少なく女性や若い人をターゲットにしていない雰囲気です。
銀塩は製本が「合紙製本」になります。高級感がありそこは長所です。

結論

「銀塩好き」な人は銀塩にすればいいでしょう。
特にこだわりのない人はオンデマンド印刷で良いと思います。高画質を求める人はキャノンの「ドリームラボ」を使用しているフォトブックを選びましょう。

<参考記事>
高画質なフォトブック ベスト3(印刷)