若者が「草食化」しているのではなく、ちょい昔が異常にハッスルしていただけ。「若者がお金がないから恋愛できない」考

交際by César Poyatos

人は自分のことをうまく説明できない

最近よく言われる、若者の草食化。その原因が、若者がお金がないからじゃないのか、という話が出てきて、各方面が盛り上がっております。
若者が草食化してお金がないので恋愛が出来ないというのは本当か
若者でない人に若者の気持ちがわかるはずもなく、数字をいろいろ検討するより、若者に質問するのが確実でしょうに、と思います。

そうなると、永江さんが若者たちに聞いた話が若者の生の声そのものなのですね。
そこでの若い男の子たちはの話を総合すると、「ITの発達で、異性と対面しなくてもたくさんの異性と交流が楽しく出来るのであえて恋愛の必要が無くなった的な・・」というようなことを言っているそうです。

「生の声を聞く」と言っても、なかなか難しいことだということがわかりますね。若者でなくとも、人間は自分の行動を、自分で意識的に納得ずくで行っているわけではないのです。

もちろん、「お金の為に仕事をする」というように明快な答えのでることもあります。しかし、「では何故その仕事をしているのですか」という質問になれば、即答できる確率は減ってきます。

そこには様々な事情が絡み合っているでしょうし、人に言いにくいこともありますし、自分でもうまく説明できない自分の内面の要因によって縛られている場合もあるでしょう。
しかも、それを他人に言葉で説明することは、難しいことです。

なので結局は、女性に興味がない、結婚願望がないという若者の内面を知るには、推測をするしか方法がないようです。

「正常な交際率」ってあるの?

「女性に関心がない」とか「交際している率が減っている」だの、「性交渉の経験率が下降」とか言っても、そう言及している人たちが比較しているデータは、古くても80年代なんですね。

減っているとか、問題だ、とか言っていても、その現象は、たかだか3~40年くらいのスパンでしかないのです。
もちろん、少子化による消費減、生産人口の低下は対策しなけれなならない日本の大問題です。

しかし、善悪を離れたところで現象をとらえてみれば、「人間本来の正しい・望ましい若者の異性との交際率」とか「常識的な結婚率」などという値が存在するのかどうか、という話になります。

では、明治時代は、江戸時代の数値はどうだったんですか?ということなんですよね。
私の祖母は、結婚以前に口もきいたことのない男性と結婚しました。大都市はいざ知らず、昭和初期の農村にはそういう例は無数にあったでしょう。

「恋愛は12世紀の発明」という話がありましたが、昭和前期以前の日本に、「恋愛」とか「交際」という認識がどれくらいあったのでしょうか。
農村では「夜這い」の慣習があり、かなり開放的な性交渉があったようですが、「誰と誰は恋人同士」という感覚はあまりなかったのでは。言い過ぎかな?

結婚は家と家の決めるものですし、本人の意思はあまり関係ありません。
それに、現在の日本人の恋人同士であることをさす「付き合う」という感覚は、世界でも珍しいもののようです。
日本人以外告白なんてしない!? 「告白する→付き合う→SEX」は日本特有の文化だった

昔は生きていくこと自体が大変なことでした。結婚してから家や田畑を探す、のではなく、その家を相続していく人だけが結婚して後を継ぐことができるのです。それは食いぶちには困らなくなることですので、恋とか愛とか言っている場合ではなく、結婚の話があれば、男女ともにそれに従っていたのだと思われます。

何を書いているかわからなくなってきましたが、昭和以前では、人口の増減以外に、交際率とか結婚率とかを云々することの意味自体があまりないんですね。

若者が恋愛しなくなって困ることってなんですかね。
親同士が決める結婚などまったくなくなり、世話焼きおばさんもいなくなり、結婚というものが、恋愛の成就の末という道筋しかなくなっていることを考慮すると、若者が恋愛しなくなると、出生率が下がってしまう、ということになります。これは大変だ。

「恋愛至上主義」という同調圧力

上記の事から、日本で自由恋愛で結婚するのが多数派になったのは戦後、という推測が成り立ちます。
私の見聞きした範囲ですと、団塊の世代くらいでも、田舎では出会いもないですし、まだまだ女性にたいして不器用な人も多く、紹介・お見合いで結婚している人がかなりいました。

女性にたいして不器用、なんて人は時代に関わらず一定の人数がいるものでしょうし、その人数は一定のまま、自由恋愛時代がここ数十年続いてるのです。
ネットが普及する前の70~90年代というのは、テレビ、雑誌などのメディアが巨大な影響力を持っていた時代です。
今と比べて娯楽も充実していませんでしたので、テレビドラマなんてのは、みんながほとんど同じドラマや、流行歌を聞いていいました。

もちろん、ドラマや歌で繰り返されるのは、「熱い恋愛」や「良き家庭」といったものです。クリスマスが恋人同士が乳繰り合う日になり、恋人がいない人が惨めさを味わう日になったのもこのころです。
ここで、必要以上に「男と女は愛し合うもの」とか「普通の人間は結婚して家庭を築くもの」という価値観を刷り込まれていたように思えます。

よく「性欲」を「本能だから」とか言う人がいますが、ホントの本能は食欲と睡眠欲だけだそうです。
群れから離れて成長した猿などに、異性をあてがっても交尾をすることは出来ないそうです。性交渉には社会的学習がいるのですね。

動物にも繁殖しない固体がいるように、人間の中にも、性欲がなかったり、結婚したいと思わない人がいるのは当たり前ではないでしょうか。
ただ、付き合いたい、結婚したい、という意思をもちつつも、それがままならない人には、社会からのなんらかの手助けが必要だと感じます。

結婚とか恋愛というのは、時代により変化していくものなのでしょう。
趣味や生き方も多様化し、マスメディアも衰退し、昔のように「恋せねば人にあらず」的な圧力もなくなった現在、男女交際や結婚も変化していっている最中なのでしょう。少子化は困りますけどね。

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