「百ます計算」論争
陰山英男氏が提唱した「百ます計算」という学習法があります。
一時は小学校でもやっていたところがあるほど、よく知られたものです。
私は蔭山氏の著書を数冊読んだことがあり、子供にも百ます計算をやらせていました。
一番下の子が小学校に上がるので、基礎学習について調べていたら、百ます計算についてもいろんな賛否の声があることを知りました。
なんにでも賛否はあるものですが、百ます計算についてそんな熱い論争が行われているとはホント意外でした・・・。
百ます計算の効果
反対論としては、計算の答えの暗記による弊害とか、タイムを競うあまり、他の問題も深く思考せずにいたずらに急いで回答するようになった、とか・・・まあいろいろあるみたいです。
やたら理論的な批判などもあり、全部には目を通してはいないのですが、反対論では基本的に百ます計算を「計算を覚えるための技術」としてとらえている人が多く見受けられました。
自分の子供をどう教育するのかはその人の自由ですし、学習塾経営の方などは経営方針もあるのでしょうから、反対論を批判するつもりはありませんが、私なりの百ます計算について見解を述べます。
たしかに簡単な計算を習得するには、数をこなしたほうが覚えやすいということは間違いないでしょう。その数をこなすためのやりやすい方法として百ます計算がある、ということ。
もちろん、それも大きな効能でしょう。
しかし私が着目していたのは、基礎計算力のUPではなく、直接的に基礎計算力が影響しないところにも良い作用がみられるところです。
基礎の反復練習が、計算の習得だけではなく脳に良い影響を与えることは、いろいろなデータから明らかになっています。
集中力UPや、算数以外の教科の成績上昇にもつながります。
「基礎計算」以外の効能
例えば野球やテニスなどのスポーツでも、試合形式の練習ばかりするより、ランニングや筋トレで基礎体力をつけたり、素振りで十分なフォームチェックを行ってから実戦形式の練習に入ったほうが結果がよくなるものです。
それは勉強でも同じで、基礎の反復練習は「脳の筋力」を鍛える効果があります。
百ます計算により、脳を反射的に運動させることにより脳の機能がよりよく働くようになるのです。
なので、極端な話「基礎の反復」なら百ます計算でなくても良いわけで、今のところ反復に便利なのが表をつかった百ます計算だ、ということでしょう。
蔭山氏の著書にも同じような説明あるのですが、真意が伝わっていない部分があるようです。
百ます計算の弊害として言われる「字が雑になる」とか「他の問題も急いでしまう」ということは、「子供がTPOをわかっていない」ということですので、「百ます計算以外のときは、急がないでやりなさい」と教えることが必要です。
計算以外でも、時と場所を考えて行動することは教えていかないといけません。
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